2015年8月30日 中村哲医師 講演録「アフガニスタンに生命の水を」@宇部市(質疑応答より)
2015.8.30 講演録「アフガニスタンに生命の水を」 #中村哲 氏@宇部市https://t.co/ez4i4MH1Or
— abe marwarid(アーベ・マルワリード) (@abemarwarid) March 5, 2020
以下、質疑応答より
質問
・用水路などを造るうえでの知識はどのように得たのか
・何十年も活動を続けられる原動力は何か
・学校はあるのか
・次のリーダーを育成するためにどのようなことを考えているか
質問 用水路などをつくるうえでの知識はどのように得たのか。
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中村 知識は誰も教えてくれない。如何にして造るかという気持ちがあれば、基礎的な水利学的な計算を学ぶことは、それほど難しいものではない。実際の水利施設に足を運んで観察し、コピーすることから始める。
昔の人は緻密に計算しながら造っているわけではなく、おそらく経験だけのはず。試行錯誤の積重ねで最終的に完成したのだと思う。郷土史にもどうやって造ったかは殆ど残ってない。ということは普通の人にもできる製造過程ということだ。これを模倣することから進めた。河川工事は試行錯誤の繰返しだった
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質問 何十年も活動を続けられる原動力は何か
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中村 仕事上「疲れたからやめよう」という訳にはいかない。早く作業から引き揚げたいと思った事は何度もあるがここで自分がやめると何十万人が困るという現実は非常に重たい。多くの人が私の仕事に対して希望を持って何十億円という寄付をしてくれている
その期待を裏切れない。何よりも現地の人たちに「皆が頑張れば、きちんと故郷で1日3回ご飯が食べられる」という約束を反故にすることになる。十数万人の命を預かるという重圧は、とても個人の思いで済まされるものではない。みなが喜ぶと嬉しいもので、それに向けて努力することが原動力だと思う。
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質問 学校はあるのか。
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中村 今は国民学校がある。以前から教育は行われており、モスクを中心とした伝統的なマドラサが今でも田舎では教育の中心で、教育とは「親が死んでも自立して生きていける生活の手立てを与えるもの」と考えられており、農村では家の手伝いをすることそのものが教育だ。
「読み書きができればいい」と考えている人がほとんどではないか。学校に対して生徒(数)が多く、就学率も増えているため三交代制をとっている。都市部では近代的な教育を受けた子どもたちが農村を捨てて都市に出て行くことが問題になっている。教育そのものより、中身が重要ではないかと思う。
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質問 次のリーダーを育成するためにどのようなことを考えているか。
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中村 現地でリーダーが育っていくことを期待して仕事を進めていきたい。学歴より、現場は徹底した現地主義。人材は現場で育てるということを徹底していけば実質的な指導者が自然にあらわれてくる。
しかも生きるか死ぬかの問題だ。英語も日本語も通じない人でも「これは」という光る人がいる。やがてその中からリーダーが出てくると確信している。
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