手縫いの革小物の作品の紹介から、気まぐれで野菜栽培の記録、
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アフガニスタンとペシャワールの果物事情

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前回書いた「アフガニスタン東部とペシャワールの野菜事情 」に引き続き、果物事情編です。( ※ 長文です 笑)

 

季節によって見られる果物の種類は異なりますが、野菜類に負けず劣らずバラエティに富んでおり、その代表格(個人的な)としては、メロンとマンゴーが挙げられます。

毎年夏になると、ほぼ毎日のようにギンギンに冷やしたメロンとマンゴーを食べていました。

ときにはアレンジを加えて、少量の氷と牛乳と混ぜてジューサーにかけた、メロンとマンゴーのミルクシェイクも絶品でした。

 

ちなみに、こちらの真夏の気温は、お天道様の気分次第では50℃を軽く超える酷暑が味わえる地域であり、冷たい井戸水をペットボトルに入れて外出しても、20分も経たずにお湯になります(笑)

この暑さは日本ではなかなか想像しにくいのですが、感覚としては「暑い」というよりも、太陽光線が近くて「痛い」という感じで、日本のように半袖短半ズボンで外出をすると大変なことになります。

ただ、日本のような高温多湿ではなく乾燥している分、日陰に入ると過ごしやすい面もあります。

 

こういった鬼気迫る環境の中で、肉体的にも精神的にも健全に生き抜くためには、メロンとマンゴーは必須果物でした。

これがあるから夏を乗り切ることができたともいえますし、これを食べるために夏を楽しみにしていたともいえます。

気候の影響もありますが、日本で売られている超高級品ですら足元に及ばない美味しさで、マンゴーとメロンを食べる為だけに旅費をかけて一ヵ月くらい滞在してもいいんじゃないかとさえ思うほどです。

 

この美味しさの秘密を想像するに、絶滅もあり得る程に過酷な環境下であることが影響しているのかなと思うことがあります。

まず安定的に子孫を残し続けるためには動物を利用して食べてもらい、適した場所に種を運んでもらうなり、栽培してもらうなりが必要なわけですが、その動物に他の作物よりも優先的に選んでもらえるように、より甘く、より高い栄養価を備えるように進化をしてきた結果なんだろうなと。

 

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アフガニスタンのメロンは、ハルブザやハタケイと呼ばれるラグビーボール状のものが一般的で、その美味しさは世界一なんじゃないかと言われるほどみたいです。

(中国のウイグル自治区で栽培されているハミウリも世界一美味いと聞きます)

メロンはアフガニスタン南部のカンダハール産が旨いと評判です。

個人的には国境の街トルハム付近の街道の畑で農家さんから直接買ったものが一番美味しかったです。

マンゴーは主にパキスタンのカラチで栽培されたものが各地へ輸送されているようで、これもまた抜群に美味しいです。

 

他にも西瓜、葡萄、バナナ、桃、リンゴ、ザクロ、柑橘類(蜜柑、オレンジ、ブラッドオレンジ、グレープ、小レモン、おばけレモン、八朔のようなもの)など、特に柑橘類に限っては相当な数の品種があるようです。

 全体的に小ぶりな野菜たちとは真逆に、果物類は大ぶりなものも目立ちます。

品種、土質、水質、太陽の光線量などが大きく影響しているのでしょうか。

 

この他、イチジクやイチゴも栽培されていますが、

イチジクは生では傷みやすいという理由で市場に出回らず、下の写真のようにドライイチジクとして売られています。(う〇ちーではありません)

イチゴも似たような理由からか、自家消費用に栽培しているものは見かけます。

 

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↑ どこのお店でも、野菜や果物を並べるときには綺麗に積み上げているのが特徴的。

 

町や村のローカルなお店では、通常1㎏、1/2㎏単位で買うことが多く、

日本のように一個いくらとか、1パックでいくらという感じではないです。

お願いすれば1個単位でも買うことはできます。 

 

値段を正確に思い出せないのですが(2015年頃のレートでは、1ルピー=約1.2円)、

確かマンゴーは1㎏あたり200ルピー(240円)前後で(1㎏=約3個)、

メロンは7㎏あたり300~350ルピー(360~420円)前後で、1個の重さは7㎏~10㎏越えまであったと思います。

 

メロン購入時は単位が少し変わっていて、1㎏あたりではなく、7㎏あたりを1単位とし、「1マン(7㎏)」と計算します。

実際には、数字の1のことをヤオというので、「ヤオマンあたり幾ら?」と聞いて回ります。

2マンならドゥワマン、3マンならドゥレィマン、4マンならツァロールマンといった感じです。

西瓜も非常に美味しく大好きなのですが、何故かあんまり食べなかったので、記憶がございません(笑)

 

ちなみに、ペプシ1.5ℓは10年前は確か50ルピー(90円)でしたが、1年前には100ルピー(120円)になっていました。

ものによるようですが、10年前に比べて極端に高騰しているものも見かけました。

 

↓ 10㎏近くもある巨大なメロンは、こんな感じで小口切りにして、みんなで片っ端からムシャムシャ齧り付いていきます。

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↑ これはオレンジの木ですが、最後に柑橘繋がりで素敵なお話を。

アフガン東部では、毎年3月になると「オレンジの花・詩会」という詩人たちが集っては詩を読み合うという、伝統的な催しが行われているようです。

見かけによらず、アフガン人の多くは歌や踊りが大好きで、男性は歌が上手く、低音ながらも響き渡るような歌声が特徴的です。

たぶん、小さいころからコーランの暗唱で培ってきたリズム感や発声の感覚が無意識のうちに身についているんだろうと思います。

 

その詩会について詳しく書かれている文章があったので、下記に引用させていただきます。(無断引用すみません)

 

 

アフガン人は農民かつ詩人でもあります。

象徴的に反映されるのが文学の世界で、伝統的な「詩の会」の行き詰まりが伝えられます。

アフガンでは、「カンダハルのザクロの花」、「ジャララバードのオレンジの花」が地域の象徴で、毎年3月、各地から人々が集まり、詩を詠み合います。

ジャララバードの「オレンジの花・詩会」は特に有名で、東部アフガン全体、パキスタン北西部からも詩人たちが集まり、政治や身分を超えて賑わいます。

      

  中村医師からの報告(2014年6月24日)より

 

この詩会は、数百年前からずっと続いてきた文化行事です。パシュトゥ人は皆、詩が好きです。

南部カンダハルの「ざくろの花・詩会」と並んで、ジャララバードの詩会が有名で、詩人たちが花の季節に集い、詩を朗読し合います。

これは身分や貧富、地域・国境どころか、政府・反政府という立場も超えるもので、政治性が全くないものです。即興詩の掛け合いという点で、昔の日本の和歌に似ています。パキスタン側のペシャワールやワジリスタンからも人々が集います。読み書きができないことさえ問題になりません。

      

  会報122号|ペシャワール会|中村哲医師(2014年12月11日)より

 

 

 

 

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