手縫いの革小物の作品の紹介から、気まぐれで野菜栽培の記録、
異文化で生活する人々の記録写真や猫のことなども綴ります

アフガニスタンの民族楽器 ラバーブの職人

 

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 これは2005年頃のペシャワールでのことですが、当時の日本人の同僚から、「ラバーブをひとつ、娘のお土産に持って帰りたい」という話を受けたときのことです。

 現地職員の同僚に聞いても、あまり身近なものではないためか、すぐにはお店が見つかりませんでした。

様々な伝手を辿って探してもらい、やっとのことで「オールドバザール(旧市街)のダブガリロード沿いでラバーブを手作りしている職人さんが居るらしい」との情報を聞き、向かったのがこの小さな工房です。

 彼はこのラバーブの作り手であると同時に、弾き手でもありました。

試しに音を聞かせてもらえないかとお願いをすると、彼は目を瞑り静かに弾きはじめてくれました。
それはとても柔らかく、身体にスーッと入ってきては内側で響くような優しい音色で、時間を忘れて聞き入ってしまうほど不思議な魅力のある音を奏でていました。

 

 ラバーブは桑の木を刳り貫いたものに、羊や山羊の革を張って作られます。

職人さんが手に持っているラバーブには、とても綺麗な白蝶貝が施されており、値段を伺うと、安い物で5,000ルピー(当時、約9,000円)~高価なものは10,000ルピー(約18,000円)と、いくつかの種類があるようでした。


しかし時代の移り変わりとともに、買い手が減ってきたうえに、工房の後継者も居ないらしく、「もうそろそろ店終いをしようかと思っている・・・」と、寂しげに話していました。

今思えば私も一つお願いしておくべきだったとなぁと後悔してます。

 

 この時、どの価格のラバーブのものを注文したかは忘れてしまいましたが、注文から一週間ほどで完成し、その後無事に日本へ持って帰ることができたようです。

 

 そして話はここで終わらず、2年後の2007年頃に知ることになるのですが、

実は日本に「アフガニスタンの伝承音楽」を演奏されている方々が居らしたのです。

「ちゃるぱーさ(ヤモリ)」という、愛くるしいユニット名で活動されています。

男性の佐藤圭一氏が「ラバーブ」を奏で、女性のやぎちさと氏は「トゥンバク」という太鼓を叩き、さらにダリ語を一から学んで歌を唄われています。

その演奏の様子からは、数少ない資料やレコードを探し当て、並々ならぬ努力で技術を習得されていかれたのであろう姿を感じ受けます。

 

(↓ 2007年当時の素敵なインタビュー記事があったので勝手に載せてみます)

ちゃるぱーさ 日本で唯一のアフガンミュージシャン – Roya Project 

 

 そしてさらに時は経ち、2011年頃のこと。

後に知ったことですが、なんとあのダブガリロードの職人さんが作ったラバーブが、巡り巡ってお二人の手元に届くという、なかなか驚くようなことが起きていました。

「名器は弾き手を求める」という言葉もあるそうですが、まさにそんな感じの展開に縁の深さを感じました。

現在でも各地で精力的に演奏を継続されており、様々なジャンルの演奏家の方々も交え、幅広い場面で活躍されているようです。

 

 3.11の東北大震災の直後には、被災地にて演奏を披露され、また、ある時はアフガニスタンでの灌漑、農業、医療活動を行う組織のイベントの場でも、演奏と募金活動に無償協力を行うなど、精力的に活動を継続されています。

これからも末永く活動が継続されることを願い、また、これまでの活動への敬意と共に、ささやかながら今後も応援させていただきます。

 

↓ 個人的に好きな曲目の動画も勝手に載せてみます。(検索すると沢山出てきます)

www.youtube.com 

↓ 以下、ラバーブの達人っぽい方たちの動画も載せておきます。

本当に素敵な音色ですので、お時間あるときにお聴き頂ければ嬉しく思います。 

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