F1品種(一代交配種)と固定種についてのあれこれ(独り言)
F1品種(一代交配種)と固定種についての独り言です。
私が栽培している種子の殆どが固定種、在来種と呼ばれる品種ですが、興味の沸いたF1品種や、F1品種が固定されたものもあります。
珍しい固定種や面白そうなF1品種を探して、種屋さんのホームページや、色々な方のブログを見て回ることがあります。
そんな中、ときどき目にするものの中に、「F1品種は自家採種できない(=だから良くない)」というような記述があります。
(実際に実践されていない知識と思い込みで書かれているような方も見かけます・・・。)
しかし、私自身の経験や他の方の実践例からすると、採種が出来ないわけではなくて、採種した種を翌年に蒔いても、親世代と同じ形状や性質、食味を持った品種が現れ難いというのが、より適切かと思います。
実際に私自身、幾つかのF1品種で1~2世代まで採種と栽培を試したことがありますが、バラツキが出るものもあれば、親と遜色のない子、孫が育つこともありました。
上の写真はそのうちの一つで、天理交配のうすむらさき茄子(F1) から採種をした第三世代目(F3)です。
見た目も食味もF1との違いは分かりませんでした。
(肉質緻密で美味ですが、採り遅れて一定の大きさを超えると表皮が硬くなるので、それ以上は採種を続けませんでした)
今は販売されていませんが、以前、自然農法センターで購入したメニーナF5(交配種の代5世代)という中玉トマトの採種を続けており、現在F11となりました。
親世代とは形状や一部の特性は変わっているようですが、11世代目になっても実付、食味良く、露地栽培による裂果も少なく、十分に優秀な品種だと思います。
この自然農法センターさんでは、自家採種することを前提にした、有望な交配種を生み出して販売されており、メニーナ以外にも、モチットコーンというハニーバンタム(F1スイートコーン)を選抜し固定させた種子があります。
他にも、有名どころでは、桃太郎トマトの採種を繰り返し固定化させたアロイトマトなどの例もありますし、個人でもF1品種の固定化をされている人は沢山みられます。
実践例を読むに、だいだい5~8年ほど採種選抜を繰り返すとほぼバラツキが減るとのことです。
また、F1品種、固定種に限らず、早生傾向にある個体の選抜採種を続ければ早生種に、晩成傾向にある個体は晩成種に。
草姿や実の形状、耐病性などでも同様のようで、稀に親世代よりも優れた品種が現れることもあるようです。
こんなふうにいろいろ見ていると、F1品種は固定種を作るための優れた素材という見方も出来るのではないかと、私は思っています。
とはいえ、F1品種には固定種に無い利点も沢山あります。
市場や消費者向けに、様々な優位性(耐病、食味、保存性、早晩成)を持たせて作られていることや、遺伝子型が均一であるために、発芽、生育、収穫時期が揃うという雑種強勢の特性は、特に営利栽培をする上での大きな強みだと思います。
ただし、均一であるがために悪条件下では全滅しうる危惧も抱えています。
対して固定種の場合は、多様な遺伝子を持つがゆえに、発芽、育成、収穫時期、草姿や形状にバラツキが現れるので、少しづつ収穫が出来る家庭菜園に向いているとされています。
そして個々にバラツキがある分、悪条件下でも全滅し難い(=次世代に子孫を残せる確率が高い)という利点を備えています。
結論として、「F1品種=良くない、固定種=良い」ではなく、それぞれの特性を生かしつつも、せっかくなんでF1品種も採種を続けてみて、世界に一つだけの品種を生み出してみるのも面白いんじゃないかなぁということで、ボチボチと種子を育てていきたいと思います。
個人的な独り言に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。