革作品の仕立て③ コバ(革の縁・裁断面)
コバの処理(革の縁・裁断面)について、
裁断面の面取り、ヤスリ掛け、染料による染色、フノリを染み込ませて磨くという工程を、光沢が出るまで繰り返していきます。
さらに、強度が必要な箇所には、熱で蜜蠟を薄く溶かし入れて、再び上記の作業を繰り返して仕上げていきます。
この「切り目本磨き」と呼ばれている仕上げ方は、手間と時間のかかる作業ですが、これによって張り合わせた裁断面の強度が保たれるとともに、仮に痛みが生じても同様の作業をすることで補修が可能です。
市販の量産品では、「ヘリ返し」(薄く漉いた縁の革を内側に織り込んで縫う仕立て)と、張り合わせた裁断面に顔料を塗布して仕上げる方法が一般的です。
「ヘリ返し」の場合は見た目が上品で、丁寧に扱う場合には縁を傷めずに長く使えると思いますが、ハードな使い方をする場合は、どうしても負荷が強くなり破れの原因になります。
破れてしまうと補修は出来ず、買い替えとなることが多いのではないかと思います。
また、顔料の塗布による仕上げの場合は、一見、光沢もあり見栄えが良いのですが、経年劣化によってヒビ割れていく姿が多く見られます。
個人的な経験では、エイジングを重ねて愛用していた財布が、縁の破れや、顔料による傷みで止む無く手放したことがあるため、染料で丁寧に仕上げたものを選ぶようになりました。
革製品を購入する際は、それぞれの特徴を気に留めながら、自分の使うスタイルに合わせて選んでみるのもよいと思います。